トランプ家の仮想通貨プロジェクト、リスクと懸念が浮き彫りに
2024年9月11日、米国下院の分散型金融(DeFi)に関する公聴会で、民主党のマキシン・ウォーターズ議員が、ドナルド・トランプ元大統領とその息子たちが推進する仮想通貨貸付プラットフォーム「World Liberty Financial」を取り上げ、消費者が直面する潜在的なリスクの例として指摘しました。
プロジェクト開始前から問題発生
ウォーターズ議員は、World Liberty Financialがまだ正式に開始されていないにもかかわらず、潜在的なユーザーがすでに被害を受けていると述べました。この発言の背景には、先週発生したTwitter(X)アカウントのハッキング事件があります。
トランプ元大統領の娘ティファニー・トランプ氏と、共和党全国委員会委員長のララ・トランプ氏(トランプ元大統領の義理の娘)のTwitterアカウントが不正アクセスを受け、World Liberty Financialの立ち上げに関連する偽のトークンが宣伝されました。これは潜在的な購入者をだます詐欺行為でした。
ウォーターズ議員は、「プロジェクトの背後にいる人物の知名度が高いため、悪意のある人々がユーザーを詐欺にかける機会を利用しました」と指摘し、「議員には、こうした詐欺を防ぐための強力な保護措置を検討する責任があります」と述べました。
被害の実態
トランプ元大統領の息子エリック・トランプ氏によると、Twitterは「数分のうちに」侵害されたアカウントをロックダウンしたとのことです。しかし、ウォーターズ議員は、アカウント侵害の結果、実際に人々が被害を受けたと指摘しました。約180万ドル相当の偽のトークンが購入されたとされていますが、これらのトークンは実際にはプロジェクトとは無関係なものでした。
仮想通貨業界への影響
トランプ元大統領は選挙運動の中で仮想通貨を支持し、仮想通貨所有者へのアピールを政治プラットフォームに組み込んでいます。World Liberty Financialの推進は、トランプ氏にとって仮想通貨分野での初めての起業的取り組みではありませんが、DeFi貸付プロトコルの推進は、以前のNFTトレーディングカードよりも仮想通貨業界の評判に大きな影響を与える可能性があります。
公聴会での議論
ウォーターズ議員のコメントは、議員たちがDeFiの長所について議論を交わす中で出されました。彼女の発言では、DeFi分野を特徴づける要素として「ハッキング、詐欺、情報の不平等、利益相反」が挙げられました。
この公聴会は、下院のデジタル資産・金融技術・包摂小委員会が主催しました。この小委員会は昨年設立され、デジタル資産分野を監督する連邦規制当局に「規制の道筋」を提供することを目的としています。
公聴会の冒頭では、規制執行措置の性質について共和党と民主党の議員の間で意見の相違が浮き彫りになりました。現在、Coinbaseなどの企業が米国証券取引委員会(SEC)との継続的な訴訟に直面しています。
まとめ
World Liberty Financialを巡る一連の出来事は、仮想通貨プロジェクト、特に著名人が関与するものについて、消費者保護とリスク管理の重要性を浮き彫りにしました。議会での議論は、DeFi分野の規制と監督に関する課題と、政治的な見解の相違を反映しています。今後、仮想通貨業界と規制当局の間で、より建設的な対話と協力が求められるでしょう。