- DeFiのインパーマネントロスって何?
調べても「複雑な計算式」とかが出てきて意味不明… - お金が減るってことは分かるけど、仕組みを知りたい。
こんな疑問にお答えます。
私自身、DeFiでの資産運用にチャレンジしてみたものの、インパーマネントロスによって損失を被った経験があります。しかし、その仕組みを理解することで、リスクを最小限に抑えられるようになりました。
ぶっちゃけ「インパーマネントロス」は知らなくても十分に稼げます。
とはいえ、リスクをしっかり押さえておくことは「冷静な投資判断」に繋がります。
その冷静な投資判断は「損失を抑えて利益を最大化すること」に繋がりますので、最後まで一緒に頑張りましょう!
本記事の信頼性
- 仮想通貨で年間利益100万以上(納税も経験)
- NFTゲームで人を雇う(マネージャー)経験
- 仮想通貨歴3年、DeFiで500万以上を運用中
- 仮想通貨取引所MEXCの元社員
なお、DeFiを始めるにあたっては手数料や購入にあたって、ETH(イーサリアム)が必要になります。
少額の500円から購入できるコインチェックの口座を開設し、事前に購入しておきましょう。
インパーマネントロスとは
インパーマネントロスとは「DEXにペアで預けたコインの価格変動による損失」です。
これだけだと意味わかんないですよね…
状況としてはこんな感じです。
「DEXに預けず、ただ保有しておく方が良かったよね」という状況になるかもしれないリスクのことです。
詳しくはこれから分かりやすく説明しますね。
前提知識:分散型取引所の仕組み
インパーマネントロスを理解するためには、前提としてDEX(分散型取引所)のことを知っておく必要があります。
分散型取引所(DEX)には、管理者は存在しません。
コインチェックのように管理者がいて、仮想通貨を調達して販売所で売ってくれるような市場もありません。
分散型取引所は利用者が持ち寄った仮想通貨で市場が作られています。
利用者は分散型取引所(DEX)に資金を預けることで、取引手数料の一部などを得ることができます。
これがイールドファーミング(流動性マイニング)です。
イールドファーミングも流動性マイニングも一括りでファーミングと呼びます。
ファーミングを行う際には、以下の2つのルールがあります。
仮想通貨をDEXで運用する時のルール
①仮想通貨を1組のペアで預ける(例:ビットコイン&イーサリアム)
②ペアとなるコインは等価になるように預ける(例:ビットコイン1枚&イーサリアム20枚)
このようなルールで作られた仮想通貨の市場は、流動性プール(Liquidity Pool、LP)と呼ばれます。
このとき、持ち寄られた仮想通貨のペア間でのみ市場が作られます。
分散型取引所にBTC&ETHの流動性プールがあれば、利用者はBTCとETHを自由に交換(スワップ)できます。
BTC&USDTの流動性プールがあれば、利用者はBTCとUSDTを自由にスワップできます。
この流動性プールが複数存在することで、自由にスワップできる市場が作られている訳です。
分散型取引所の中の仮想通貨の価格は流動性プール内の仮想通貨の単純な割り算で計算されます。
例えば、BTC&USDTの流動性プールにBTCが2枚、USDTが4万枚あったら、1BTCの価格は2万USDTになります。
こう考えると意外とシンプルに見えてきませんか?
インパーマネントロスの仕組みを理解するために必要な分散型取引所の知識は以上です!
インパーマネントロスの仕組みとは
ここからがようやくインパーマネントロスの説明です!
インパーマネントロスとは分散型取引所で流動性を提供(ファーミング)しているとき、提供した仮想通貨ペアの片方の価格が相対的に変動する際に発生する損失のことを言います。
またしても何言ってんだ、コイツって感じですよね。
イメージ図で理解していきましょう。
まずはインパーマネントロスが発生する条件となっている、価格の変化をイメージしてみます。
11000枚のUSDTと11枚BTCで作られているLPプールを考えてみましょう。
この時、1BTC=1000USDTになります。
この流動性プールの市場でビットコインが1枚購入されると、BTCが1枚減ってUSDTが1000枚増えますね。
仮想通貨の枚数比が変化するため、ビットコインの価格が1.2倍の1BTC=1200USDTになりました。
これが、分散型取引所内の仮想通貨の価格の動き方の基本です。
このようにビットコインの価格が1.2倍になった時のインパーマネントロスを実際に計算してみましょう。
下の画像は、ビットコインの価格が1.2倍になり、約0.4%のインパーマネントロスが発生した時の例です。
あなたの最初の資産は、ビットコイン1枚とUSDT1000枚でした。
ビットコインの価格が1.2倍になることにより、インパーマネントロスが発生し、その金額は2200ドル-2190.8ドル=9.2ドルとなります。(2200ドルの約0.4%)
・仮想通貨をガチホしている場合
あなたはビットコインとUSDTをそれぞれ1000ドル分ずつ、合計2000ドル分をウォレットに持っています。
ビットコインの価格が1.2倍になると、あなたの資産は2200ドルになります。
・流動性プールに提供した場合
あなたはビットコインとUSDTをそれぞれ1000ドル分ずつ、合計2000ドル分を流動性プールに提供しました。
ビットコインの価格が1.2倍になると、あなたの提供したビットコインとUSDTは枚数が調整されます。
その結果、あなたの資産はガチホしてる時と比べて9.2ドル(0.4%)減ります。
この分がインパーマネントロスということになります。
枚数が調整されるってどういうことなのさ…とお考えの人もいらっしゃるでしょう。
あなたの資産がガチホしてるときと比べて減った理由は、流動性プール全体の価格が変化したためです。
USDT建のBTCの価格が上がるということは、分散型取引所でUSDTが売られ、BTCが買われていることを意味しています。
これによって、BTC&USDTの流動性プール内の枚数比は変化することになります。
具体的には、BTCの枚数が減り、USDTの枚数が増えます。
流動性プール内の枚数比の変化は、流動性プールに提供している人が全員で協力して負担する必要があります。
流動性プール内のBTCの枚数が減ったことで、BTCの価格が上がっていますが、せっかく価格が上がっているBTCの持ち分割合をあなた自身も全体に合わせて減らさないといけないという訳です。
だからガチホしてるときより資産が減っており、この分がインパーマネントロスです。
価格は上がっているので厳密にはあなたの資産は増えていますが、増える恩恵を少し受けづらくなるイメージです
インパーマネントロスの早見表
インパーマネントロスは預けたコインの価格変動で発生するのは分かったけど、その損失額ってどのくらいなの?
計算方法はかなり複雑なので解説しません。
Bincance Academyに「価格変動によって起こる損失の早見表」が記載されているので引用します。
インパーマネントロスの損失早見表
- 1.25倍の価格変動=0.6%の損失
- 1.50倍の価格変動=2.0%の損失
- 1.75倍の価格変動=3.8%の損失
- 2.00倍の価格変動=5.7%の損失
- 3.00倍の価格変動=13.4%の損失
- 4.00倍の価格変動=20.0%の損失
- 5.00倍の価格変動=25.5%の損失
画像の通り、横軸が価格変動で、縦軸が損失割合です。
見て分かるようにプラスの価格変動によるインパーマネントはあまり大きくないです。
事実として、LPペアのコインの価格比がエントリー時の+50%以内に収まっていれば、インパーマネントロスは2%以下に収まります。
そこまで大きな値動きをする仮想通貨でなければ、そこまで恐れるものではありません。
しかしマイナス方向の価格変動によるインパーマネントロスはかなり大きなものになります。
画像でいうところのグラフの左半側のことですね。
取引量の少ない一部のアルトコインは5倍くらいの価格変動は割と頻繁に起きます。
ですので、流動性を提供する銘柄には十分気を付けましょう!
価格変動の大きい草コインをファーミングするのは危険ですが、他の仮想通貨なら50%も変動しませんよね。
だからBNBとかBTCなんかのメジャーなコインでの運用が安定するというわけです。
インパーマネントロスの計算サイト
これまでインパーマネントロスの仕組みなどを紹介してきましたが、実際の損失の具体的な数値を把握するためには、より複雑な計算を行わなければなりません。
ここでは、インパーマネントロスを導き出すのに非常に役立つサイトを3つほど紹介していきたいと思います
インパーマネントロスの計算ツール
- Yield Watch Impermanent
- Loss Calculator
- DeFi Yield
①Yield Watch
こちらのサイトは、PancakeSwapなどのBSC(Binance Smart Chain)上に構築されている分散型取引所と接続することが可能で、PancakeSwapを使用する際には欠かせないツールとなっています。
「Yield WatchあるからPancakeSwap使ってる!」という人も実際に少なくありません。
このサイトさえ利用すれば、Pancakeswapでのインパーマネントロスだけではなく、トレーディング収益まで確認することが出来ます。
使い方もウォレットのMetamaskを接続すればいいだけなので非常に簡単ですのでおすすめです。
②Impermanent Loss Calculator
こちらのサイトは、超簡易的な数値のインパーマネントロスを計算してくれるサイトとなっています。
使い方は、トークンAとトークンBの預け入れた際の価格と現在の価格をそれぞれ入力するだけです。
しかし、変動損失の割合(%)を計算してくれるだけなので、実際にいくらほどの損失が出たのかまでは把握できません。
Impermanent Loss Calculatorの詳細はこちら
③DeFi Yield
こちらのサイトは、上記で紹介したImpermanent Loss Calculatorの上位交換のようなサイトとなっています。
預け入れた資産の合計だけではなく、どの通貨ペアを預けたかを選択することが可能なので、より正確なインパーマネントロスを計算してくれるのでとても便利です。
インパーマネントロスの対策
インパーマネントロスは、仕組みを理解していれば回避は可能です。
インパーマネントロスへの対策は、以下の3つが有効です!
インパーマネントロスへの対策
- インパーマネントロスを上回るAPRを狙う
- 仮想通貨の価格が戻るまで待つ
- インパーマネントロスをが発生しにくいLPを狙う
それぞれの詳細を解説していきますね。
インパーマネントロス以上に稼ぐ
インパーマネントロスが発生してしまっても、それ以上にファーミング(流動性マイニング)で稼ぐことができれば問題ありません。
実際、ファーミングの収益が大きいので、インパーマネントロスを知らなくても稼げてしまうというのも事実です。
ファーミングによる運用が上手くいったかどうかは、「運用による利回り-インパーマネントロス」が大きいかどうかです。
インパーマネントロスが発生しやすいファーミングは、年間利回り(APR)が高くなります。
年間利回りの大きいものは、価格変動が起きやすくインパーマネントロスのリスクが高いなっています。
しかし、利点としては仮想通貨は流動性を提供されづらいため、自分が獲得できる利回りの割合が大きくなります。
年利が数十パーセントあるファーミング先も多く、中には100%を超えるものもあるため、インパーマネントロスを上回るAPRで運用できれば金額上は儲けを出すこともできます。
上の画像の流動性プールのようにAPRが30%を超えていれば、早見表より5倍以上の価格変動が起きない限り、高利回りで運用できることが分かります。
価格変動リスクが高くても、それに見合う利回りが獲得できれば問題ないってことです!
仮想通貨の価格変動が戻るまで待つ
価格変動でインパーマネントロスが発生しても、待っていれば解消されることもあります。
例えば、片方の仮想通貨の価格が大きく上昇してインパーマネントロスが発生してしまっても、もう片方の仮想通貨の価格が上昇するまで待てばインパーマネントロスを回避できます。
インパーマネントロスが確定するのは、流動性の提供を止めて解除したときだけです。
現在の相場の状況を考えて、インパーマネントロスが発生している状態でファーミングを提供して本当に良いのか判断しましょう。
インパーマネントロスを気にするときは基本的に下落したときです。
もう少し待てばよいのか、損切りすべきなのかは冷静に考えて判断しましょう。
インパーマネントロスがないLPを狙う
そもそも価格変動がないステーブルコイン同士のLPや、値動きが似ている仮想通貨同士の流動性プール(LP)を提供することで、インパーマネントロスを回避できます。
インパーマネントロスのリスクが少ない流動性プール
- USDT&USDC(BUSDもあり)
- BTC&ETH…etc
USDTやUSDCのステーブルコインは、価格変動が発生しない仮想通貨です。
ステーブルコイン同士のLPを提供することで、インパーマネントロスのリスクなしで運用できます。
APRは3%~10%程度で他のアルトコイン同士のペア等と比べると見劣りしますが、株式と比較すると十分高利回りです。
DeFiやってると感覚狂ってきますが、年利5%って十分すごいです。
これをリスクなしでできるなら、やらない手はないですよね。
価格の動き方が似ている仮想通貨同士のペアもお勧めです。
BTCとETHはその代表です。
同じような値動きをしている流動性プールは、売り買いが均等に発生するため、流動性プール内の仮想通貨の枚数比が変化しづらく、インパーマネントロスが発生しづらくなります。
インパーマネントロスのまとめ
この記事をざっくりまとめると…
- インパーマネントロスとは価格変動によって被る損失
- ファーミングの際に発生する
- 対処方法はステーブルコインもしくは値動きが似ているコインでペアを作る
この記事で述べた通り、「インパーマネントロス」というものは知っておく価値があることですが、極度に恐れるべきものではありません。
正しくリスクを理解し、冷静な投資判断をして、着実に資産を作っていきましょう!
そのためにもまずはDeFiを始める必要があります。
DeFiを始めるには、多くの場合はETH(イーサリアム)が必要になります。
1万円程度からコインチェックで事前に購入しておきましょう。
当サイトで使用する「仮想通貨」とは、「暗号資産」を指します。